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村田ピアノ教室のブログ ~北海道旭川市より~

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2018年 06月 16日

音楽と競争

恩田陸著の「蜜蜂と遠雷」は、ピアノの国際コンクールが舞台の長編小説。

コンクールの参加者たちは、ライバル同士が火花を散らし・・・
ではなく、お互いの演奏に刺激を受け、尊敬し、それぞれが高め合い成長してゆく・・・
非現実的かもしれないが、実に感動的。
「羊と鋼の森」同様、映画化求む。
ドラマ化も良いっすねw

ライバルとは好敵手。
他人のミスを喜んだり、他人の演奏に点数をつけたり、、、
そうなってしまうと、それはもうライバルとは言わない。
好敵手の「好」を外さなければならない。
そもそもそれは、音楽の本質とかけ離れた行為。

コンクールは、そういうところが難しい。
入賞が目的化すると、音楽の本来あるべき姿を見失うこともしばしば。
まさに入賞至上主義。
それが行き過ぎると、たとえ入賞を勝ち取ったとしても、得るものがあっても、失うものもまた大きい。
ピアニストへの登竜門ならともかく、子どものためのコンクールって、果たしてどうなのか。
音楽で心を育てる、と言うが、どのように育つのか?
子どもたちの情緒や音楽性への影響は?
音楽の素晴らしさを伝えられるのか?
賛否の分かれるところだと思う。

最近、小学校入学前からコンクール中心でピアノ人生を歩んできた人をレッスンしたり、話をする機会があり、思うところがあって書いてみた。


音楽と競争_a0114742_17422539.jpg

左、カラスアゲハ
右、ミヤマカラスアゲハ

違う種同志がにらみ合う・・・???

彼らは偶然そこに居合わせただけ。。。
ここではお互い傷つけることもない。
平和な光景。


終わりに、ピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュ(ピリス)が、Eテレの「クラシック音楽館」で、若い音楽家たちに向けたインタビューの内容を。
字幕の日本語訳をそのまま引用させていただく。

「今は音楽ビジネスやコンクールばかりが注目されます。
芸術の存在余地のない、表面的なものばかりです。
若者たちは、そこから逃れられないと思い込んでいます。
でも、そんなことはない。
彼らは、自らの本質をとことん探るべきなのです。
芸術の創造の源、つまり音楽の根源を探究せねばならないのです」

「私は、若者たちがレベルの差にとらわれない場を作りたいのです。
誰に知識があり、誰が一番かなんて関係ない場所。
どちらが優れているという考え方は、創造性をそいでしまいます。
自分の方が優れていると思ったら、そこでもう行き止まりです。
創造性の限界です。それ以上探究しなくなる。
知らないと思うからこそ探究します。
探究はとても大切、探究するからこそ発見があるのです」











by asahimamegoo | 2018-06-16 19:48 | 指導法


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